作品紹介 連句
獅子門翁忌追善俳諧より
日時:令和3年12月5日
場所:笠松町 杉山邸
差定(さじょう)
:着帳 霞、光野
:挿花 よちゑ
:執筆 大和
:吟声 恭雨、東川
:提給 千壽子、久子、美翠
:執事 知柚、栄子
※俳号は、当時のものです。
遺吟脇起
さしこもる葎の友かふゆなうり 翁
ふくら雀の日差し慕へる 鵠士
山裾のせせらぎの音仄かにて 知柚
緩き風にも靡くスカーフ 霞
隈のなき月を眺める観覧車 旦子
両手を摩りゐたる漸寒 千壽子
秋雨に選挙演説熱を帯び 東川
菓子をたつぷりテーブルの上 恭雨
あの頃のクラスメートを見違へる 五笑
独身同士話弾みて 佐和子
恋の道大器晩成とはなるか 栄子
薬一粒床に転がる 美翠
湿りたる月にひらひら蚊喰鳥 よちゑ
工事現場の暑き騒音 久子
揚げたてのコロッケを買ふ道すがら ゆい
幼子眠る乳母車には 斐香
金の鯱泳げよ花の雲の上 光野
ひばりの鳴けば酌みかはす酒 執筆
第三十回岐阜県文芸祭 文芸大賞受賞作品(令和3年)
巴世里連句会
短歌行 「蓮の香や」の巻 捌 津田公仁枝
蓮の香や清められたる水の面 津田公仁枝
ゆつくり歩く涼風の中 奥山 ゆい
山里に声の聞こゆる家もなし 大竹 花永
猫が寝そべる古きバス停 各務 恵紅
月の舟空の大海漕ぎ出す 柴田 恭雨
秋祭とて酒宴酣 花永
変はらない君の笑顔に小鳥来る 服部 瑞華
焼け棒杭はとかく火が付き 片桐 栄子
いつの間に淡くなれるか紅の色 塚本 睦
百年続く町の呉服屋 ゆい
しつとりと暖簾を濡らす花の雨 恵紅
昼餉の膳に菜飯所望す 恭雨
エルメスの春のスカーフお気に入り 花永
ネオンの夜に髪をなびかせ 睦
※俳号は当時のものです。